【徹底解説】産業廃棄物収集運搬業許可申請とは?許可が必要な事業者・手続きの全手順を行政書士が解説

産業廃棄物収集運搬業許可申請とは?許可が必要な事業者・手続きの全手順を行政書士が解説

はじめに

「産業廃棄物の運搬には許可が必要だと聞いたが、具体的な要件がよく分からない」

「本業の現場作業が忙しく、複雑な書類手続きに時間を割いている余裕がない」

もしあなたが今、このようなお悩みを抱えているのであれば、この記事は必ずやお役に立てるはずです。

はじめまして。私は東京・千葉・埼玉エリアを中心に、産業廃棄物収集運搬業許可申請の手続きを専門としている、行政書士ライトアップ事務所の米沢と申します。

日々、建設業や解体業、製造業などで独立・開業されたばかりの経営者様から、「何から手をつければいいのか分からない」というご相談を数多くいただいております。

産業廃棄物収集運搬業許可は、単なる形式的な手続きではありません。一歩対応を間違えれば、事業停止処分や多額の罰金、さらには取引先からの信用失墜に直結する、事業運営の根幹に関わる重要な許認可です。

この記事では、専門用語の羅列になりがちな法律の話を、初めての方でも理解できるように噛み砕いて解説します。

「そもそも許可とは何か」から始まり、「自社には許可が必要なのか」「具体的な取得スケジュール」に至るまで、許可申請の全体像を網羅しました。

この記事を読み終える頃には、あなたの事業に必要な許可の全貌がクリアになり、次に行うべきアクションが明確になっていることでしょう。ぜひ最後までお付き合いください。


1. 産業廃棄物収集運搬業許可申請とは?基礎知識をゼロから解説

まずは、そもそも「産業廃棄物収集運搬業許可」とはどのような制度なのか、その根本的な部分から解説します。

1-1. 「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の明確な違い

「廃棄物」と一言で言っても、法律上は大きく分けて「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分類されます。この区分けを理解することが、許可申請の第一歩です。

  • 一般廃棄物主に家庭から出る生ゴミや粗大ゴミ、事業活動に伴って生じるオフィスゴミ(紙くず等)などが該当します。これらは市町村が処理の責任を持っています。
  • 産業廃棄物事業活動(建設工事、工場の製造ライン、製品の加工など)に伴って生じた廃棄物のうち、法律および政令で定められた20種類のものを指します。具体的には、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじんなどが挙げられます。

特に産業廃棄物は、一般廃棄物とは異なり、排出事業者が自らの責任で適正に処理することが法律で義務付けられています。また、有害物質を含む可能性があるものや、処理に専門的な技術を要するものも多いため、その運搬には厳格な許可制度が敷かれています。

【参考リンク】

環境省|産業廃棄物の定義・分類

https://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y034-03/mat02.pdf

1-2. なぜ許可が必要なのか?(廃棄物処理法の目的)

なぜ、これほどまでに厳格な許可制度が存在するのでしょうか。

それは、不法投棄や不適正な処理による環境汚染を防ぎ、国民の健康と生活環境を守るためです。

この許可制度は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃棄物処理法)」という法律に基づいています。

行政庁(都道府県や政令市)は、申請者が「廃棄物を適正に運搬する能力があるか」「経理的基礎(資金力)は十分か」「反社会的な繋がりはないか」などを厳しく審査します。そして、基準を満たした事業者に対してのみ、「この業者はルールを守って安全に運搬できる」というお墨付き(許可)を与えるのです。

1-3. 許可は「どこ」に対して申請するのか?

産業廃棄物収集運搬業の許可申請先は、原則として「都道府県知事」または「政令指定都市の市長」となります。ここで注意すべきは、「運搬する区間」によって申請先が複数になるケースがある点です。

  • 原則: 廃棄物を「積み込む場所(排出場所)」と「降ろす場所(処分場)」を管轄するそれぞれの自治体の許可が必要です。
  • 通過のみの場合: 運搬途中に通過するだけの都道府県については、許可を取得する必要はありません。

【具体例】

東京都の建設現場で廃棄物を積み込み、千葉県の中間処理施設へ運搬する場合

このケースでは、「東京都知事の許可」と「千葉県知事の許可」の2つを取得する必要があります。

事業エリアが広域になればなるほど、取得すべき許可の数も増え、それに伴い申請手数料や管理の手間も増加することを念頭に置いておく必要があります。


2. 【要確認】あなたの事業は許可が必要な事業者ですか?

ここが最も重要なポイントです。「自分は許可がいらないと思っていた」という誤認が、後に重大な法令違反を引き起こす原因となります。

2-1. 許可が必要になる具体的なケース

基本的に、「他人が出した産業廃棄物」を「運搬」する場合には、必ず許可が必要です。以下のようなケースは典型的な例です。

  • 建設業者・解体業者(下請けの場合)元請業者から工事を請け負い、現場で発生したコンクリートくずや木くず、廃プラスチック類などを、現場から処理場まで運搬する場合。※建設工事における廃棄物の排出事業者は「元請業者」となるため、下請け業者が運ぶ場合は「他人の廃棄物を運ぶ」ことになり、許可が必要です。
  • 運送業者メーカーや工場からの依頼を受け、製造過程で生じた廃棄物を処理場へ輸送する場合。
  • 清掃業者・メンテナンス業者ビルの汚水槽清掃で生じた汚泥や、工場のメンテナンスで出た廃油などを回収・運搬する場合。
  • オフィス移転・引越し業者移転に伴って排出される不用品のうち、産業廃棄物に該当するもの(廃プラスチック製のオフィス家具など)を運搬する場合。

「運賃としてお金をもらっているか」ではなく、「他人の廃棄物を運搬する行為があるか」が判断基準となります。たとえ無償で運搬したとしても、業として行っていれば許可が必要です。

2-2. 許可が不要になる「例外規定」と注意点

例外的に許可が不要となるケースもありますが、解釈を誤ると違反になるため注意が必要です。

  • 自社運搬(排出事業者自身による運搬)事業者が、自らの事業活動で出した産業廃棄物を、自らのトラックで処理施設まで運ぶ場合、許可は不要です。ただし、許可は不要でも「運搬基準」は遵守しなければなりません。車両への「産業廃棄物収集運搬車」の表示や、必要な書面の携帯が義務付けられています。また、親子会社であっても法人は別人格であるため、子会社が親会社の廃棄物を運ぶ場合は「他人の廃棄物の運搬」となり、原則として許可が必要です。
  • 専ら物(もっぱらぶつ)の運搬専ら再生利用の目的となる産業廃棄物(古紙、くず鉄、あきびん、古繊維)のみを運搬する場合は、許可が不要です。しかし、これらに他の廃棄物が少しでも混入していれば許可が必要となるため、実務上は許可を取得するケースが多いです。

ご自身の業務形態が許可を必要とするかどうか不明な場合は、自己判断せず、必ず専門家や管轄の自治体窓口へ確認してください。

2-3. 無許可営業に対する厳しい罰則

もし、許可を取得せずに産業廃棄物の収集運搬を行った場合(無許可営業)、あるいは名義貸しなどの不正を行った場合、廃棄物処理法第25条に基づき、非常に重い罰則が科されます。

  • 個人の場合:5年以下の懲役 または 1,000万円以下の罰金(もしくはその両方)
  • 法人の場合:3億円以下の罰金刑(両罰規定)

「知らなかった」では済まされません。一度でもこのような処分を受けると、向こう5年間は許可の取得ができなくなる「欠格要件」に該当してしまいます。これは、建設業許可など他の許認可にも悪影響を及ぼし、事実上の廃業に追い込まれるリスクすらある重大な問題です。

また、無許可業者に運搬を委託した排出事業者(元請業者など)も、「委託基準違反」として処罰の対象となります。お客様に迷惑をかけないためにも、許可の取得は必須と言えます。

【参考リンク】

環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行について

https://www.env.go.jp/hourei/11/000398.html

(法律の条文と罰則規定の詳細が確認できます)


3. 許可申請の全体像:7つのステップでわかる手続きの流れ

許可取得までの道のりは、決して平坦ではありません。ここでは、一般的な新規許可申請の流れを7つのステップに分けて解説します。

※自治体によって詳細なルールや必要書類が異なる場合があります。

ステップ1:講習会の受講と修了(最優先事項)

許可申請の前提条件として、申請者(法人の場合は役員、個人の場合は事業主)が、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を受講し、修了試験に合格しなければなりません。

【注意点】

講習会は定員制であり、首都圏などの会場は予約開始直後に満席になることが珍しくありません。許可を取りたいと思っても、講習会の予約が取れずに2〜3ヶ月待たされるケースも多々あります。まずは講習会の予約を確保することが最優先です。

修了証には有効期限(新規は5年)があります。

【参考リンク】

公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)|講習会の日程・申込

https://www.jwnet.or.jp/workshop/index.html

ステップ2:要件の確認(欠格要件・経理的基礎)

講習会の準備と並行して、自社が許可の基準を満たしているか確認します。

  • 欠格要件の確認: 申請者や役員、株主などが、過去に禁錮以上の刑を受けていないか、廃棄物処理法違反をしていないか、暴力団関係者ではないかなどを確認します。
  • 経理的基礎の確認: 事業を継続して行えるだけの資金力があるか審査されます。直近の決算書が「債務超過」や「赤字」の場合、追加資料(中小企業診断士による経営診断書や収支計画書など)の提出が求められることがあります。

ステップ3:運搬施設の確保

産業廃棄物を適正に運搬するための施設(車両、容器、駐車場)を確保します。

  • 運搬車両: 車検証の使用者欄が申請者名義になっていること、土砂運搬の場合は土砂禁ダンプでないことなどを確認します。
  • 駐車場(車庫): 申請者が使用権原を持っている場所である必要があります。賃貸の場合は契約書を確認し、事業用車両の駐車が認められているか、契約期間は十分かなどをチェックします。

ステップ4:必要書類の収集と作成

ここが最も労力を要する工程です。以下のような書類を準備します。

  • 許可申請書: 様式に従い、事業計画などを詳細に記載します。
  • 公的証明書類: 定款、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)、納税証明書、住民票、登記されていないことの証明書など。
  • 写真類: 運搬車両の全景写真(斜め前方・斜め後方)、ナンバープレートや車台番号の写真、運搬容器の写真など。
  • 図面類: 駐車場の付近見取図、配置図、運搬経路図など。

自治体ごとに独自の様式(ローカルルール)が存在するため、各自治体の手引きを熟読する必要があります。

ステップ5:申請手数料の準備

申請には、自治体に納める手数料(証紙代など)が必要です。

新規の収集運搬業許可の場合、1自治体につき81,000円が一般的です。

(例:東京都と埼玉県で許可を取る場合、81,000円×2=162,000円の手数料がかかります)

ステップ6:行政機関への申請(窓口・予約)

書類が全て整ったら、管轄の保健所や環境事務所などの窓口へ提出します。

多くの自治体では、申請は「事前予約制」となっています。予約が混み合っていると、希望日に申請できないこともあるため、早めの予約が必要です。

窓口では担当官による書類チェックが行われ、不備があればその場で修正を求められたり、受理されず持ち帰り(差し戻し)になったりすることもあります。

ステップ7:審査と許可証の交付

申請が受理されると、行政庁内部での審査が始まります。警察への照会(欠格要件の確認)なども行われます。

標準的な審査期間(標準処理期間)は、申請受理から約60日(2ヶ月)です。

審査が無事に終了すると、許可証が交付されます。これで晴れて、産業廃棄物収集運搬業を開始することができます。

【参考リンク】

東京都環境局|産業廃棄物収集運搬業許可申請の手引き

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/01_syuun_shinki_koushin_0511-pdf

(東京都の例ですが、詳細な必要書類やフローが確認できます)


4. 行政書士に依頼するメリットは?【時間・リスク・コストの最適化】

ここまでお読みいただき、「想像以上に手順が多くて大変そうだ」「自分でやる自信がない」と感じられた方も多いのではないでしょうか。

実際、本業をお持ちの経営者様が、これらの手続きをすべて自力で行うことは非常に困難です。だからこそ、行政書士という専門家が存在します。

メリット1:膨大な書類作成と収集からの解放

慣れない書類作成や、複数の役所を回って証明書を集める作業から解放されます。行政書士は、お客様に代わって必要な書類を収集・作成し、自治体との事前協議や調整もすべて代行します。

お客様は、本業の営業活動や現場管理に専念する時間を確保できます。

メリット2:不許可・差し戻しリスクの回避

専門知識がないまま申請を行うと、書類の不備で何度も窓口へ足を運ぶことになったり、最悪の場合は許可が下りなかったりするリスクがあります。

行政書士は、最新の法令や自治体のローカルルールを熟知しているため、一発で受理される精度の高い書類を作成します。また、経理的基礎に不安がある場合の対策(追加書類の作成)なども適切に行います。

メリット3:最短ルートでの許可取得

「どの講習会を受ければいいか」「どの自治体から申請すべきか」など、お客様の状況に合わせた最短のスケジュールを提案します。

許可取得までの期間を短縮することは、それだけ早くビジネスチャンスを掴むことに直結します。


5. まとめと無料相談のご案内

今回は、産業廃棄物収集運搬業許可申請の基礎から、許可が必要なケース、具体的な手続きの流れまでを解説いたしました。

【本記事の要点】

  • 産業廃棄物の運搬は、排出事業者自身が運ぶ場合などを除き、原則として許可が必要である。
  • 無許可営業には「懲役刑」や「3億円以下の罰金(法人)」などの重い罰則がある。
  • 許可申請には、講習会の受講、資金計画、欠格要件のクリアなど、多くのハードルがある。
  • 手続きは複雑で期間も要するため、専門家への依頼が合理的かつ安全である。

「自社の業務内容で許可が必要か診断してほしい」

「赤字決算だが許可が取れるか知りたい」

「とにかく急いで許可を取りたい」

「更新の時期が迫っているが、手続きをする時間がない」

もし、少しでもこのようなお悩みをお持ちであれば、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

私たちは、建設業や運送業など、現場で汗を流す事業者様の頼れるパートナーでありたいと願っております。

【当事務所のサポート体制】

  • 実績豊富: 東京・千葉・埼玉エリアを中心に、数多くの許可取得実績がございます。
  • スピード対応: お急ぎの案件でも、最短スケジュールをご提案いたします。
  • 完全サポート: 書類作成から行政庁への提出代行、許可証の受領までトータルでサポートします。

初回のご相談は無料です。

お電話、またはお問い合わせフォームより、どうぞお気軽にご連絡ください。あなたの事業の適正な発展を、全力でサポートさせていただきます。

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